
高島屋
TAKASHIMAYA
- 企業
- 高島屋
- 本店
- 大阪店, 大阪市難波, 大阪府
- 店舗数
- 15
- 百貨店の開店
- 1907年(心斎橋店の百貨店営業開始、創業は1831年)
- デザイナー
- フォルクマール・ブレッチュナイダー, 1980年(イラストレーション部分、使用は2007年から)
バラの包みの・・・で定着した紙袋デザインの成功例
紙袋
特徴的なリース状のバラが描かれた紙袋を見ると、高島屋が思い浮かぶ。
これには一貫したモチーフの使用とブランディングの成功という背景がある。 高島屋がバラをシンボルとして用い始めたのは1952年9月。 その後、4度にわたってリニューアルが行われているが、現在に至るまで一貫してバラがモチーフとなっている。初代デザインは1輪のバラが描かれたもので、5年後の1957年に前作を踏襲した構成で4色刷りにしてリニューアルされている。1980年には創業150年を記念して、洋画家である高岡徳太郎の輪バラが登場。現在に近い構成となった。
シンボルフラワーの制定以来、あらゆる媒体で一貫したモチーフの使用によって「バラの包みの高島屋」が定着してゆく。


現行デザインは2007年から用いられているもので1980年にドイツの国立マイセン磁器製作所が高島屋に贈った磁器が元になっている。この絵付けを行ったのがマイセンの絵付け師として著名なフォルクマール・ブレッチュナイダー。微細で質感豊かなタッチで描かれるバラは、その色彩も相まって柔らかく可愛げな印象を受ける。 前作は力強い赤がはっきりと印象的なものだったが、現行のピンクも持つ者を「彩る」という点で現代感覚にあったイメージにまとまっている。 国内において伊勢丹のタータンチェックに並ぶ、ブランド力が非常に高い紙袋デザインだ。
また2004年に高島屋日本橋店がリニューアルした際に、日本橋店限定の紙袋も制作されている。 日本橋店本館を中央通り側正面からみた建築のイラストで、イラストは画家の橋本シャーンによるもの。左下にタグラインがある。百貨店として店舗を限定して紙袋を運用することは珍しく、店舗の特別感を演出している。




紙袋の種類・つくり
種類 | デザイン | サイズ展開 | つくり | 用途 | 有料/無料 |
|---|---|---|---|---|---|
一般用 | 輪バラの一般デザイン | 1号から6号までの各サイズとワイン用、デザイン同様でその他サイズ | MF | 幅広く一般用途 | 無料 |
食料品用 | 緑単色。中央にタグラインとマスコットキャラクター「ローズちゃん」 | 1サイズ | MF | 食料品売場で使用 |
|
慶事用 | 輪バラを金色にしたもの | 1サイズ | OF | 慶事用 | 無料 |
弔事用 | 輪バラを薄いグレースケールにしたもの | 1サイズ | 一般用と同じ | 弔事用 | 無料 |
日本橋店用 | 日本橋店本館を中央通り側正面からみた建築のイラスト | MとLの2サイズ | 一般用と同じ | 日本橋店限定 | 無料 |





大手唯一の独立系、東名阪を抑えた磐石な店舗展開。
百貨店のあらまし
現代における高島屋の特徴は大手百貨店で他社との合併がない独立系であることと盤石な店舗展開にある。
展開する店舗は、日本橋店、新宿店、横浜店、大宮店、柏店、高崎店、大阪店、京都店、洛西店、泉北店、堺店、岡山店のフルライン百貨店12店舗。
鉄道会社との合弁でJR名古屋高島屋、いよてつ高島屋を展開。業務提携としてJU米子高島屋。玉川高島屋と立川高島屋はSCとして展開。
本店は大阪店、旗艦店は日本橋店。どちらも売上高1000億円を超える大型店だが、最も売上が高いのはJR名古屋高島屋でその売上は2000億円を超える。東名阪の三大都市圏を抑えた店舗展開でこれは大手5社の中でも突出した特徴。バランスのよい店舗展開が高い収益性と全国的なブランドの浸透につながっている。

2000年代中ごろから業界再編が進むなかで、一時期は阪急阪神との統合も模索したが、今日に至るまで独立を貫いている。
百貨店として独立系であることに特段の利点があるわけではないが、経営の主体性と機動性という点で、他の大手と比べた際にアドバンテージとなりうる。
近年はグループでの不動産事業や金融事業への投資が伸びており、日本橋店や郊外にSCを展開することで、既存の百貨店事業を活かした収益の向上を図っている。
革新的な経営をゆくJフロントリテイリング、百貨店中心の保守的な三越伊勢丹と比較して中道をゆくバランス経営と言える。
順当な拡大政策が今日の発展を支える
百貨店の成り立ち
高島屋の創業は1831年。京都で古着商として店を構えた。
創業しばらくは京都を地盤に経営を進め、1896年には烏丸店の拡張にあたってショーウィンドウを設置。諸説あるが、これが日本で初めてのショーウィンドウとされる。

大規模な百貨店として営業を始めたのは1922年の大阪、長堀店の開店から。しかし、それより前の1907年の心斎橋店増築にて百貨店と同様の陳列方式や雑貨や化粧品の取り扱いも行われているため、本稿では1907年を百貨店営業の開始とした。また、陳列方式については先に述べた1893年の京都東店新築に際して呉服や工芸品、雑貨品の陳列場設置と販売が行われており、このことをもって日本初の百貨店とする見方もある。1896年には上述の烏丸店にてショーケースでの陳列と販売が始まっている。

1926年には長堀店にて「10銭均一売場」を開設。大衆路線の拡大を図ったもので、この新機軸は現代の100円ショップにつながってゆく。また長堀店は地階に食料品売り場を配置し、諸説ありつつこれが日本初のデパ地下とされることもある。こういった点で高島屋初めての大規模百貨店ながら現代の消費文化につながる先駆的な店舗であったといえよう。
1933年、日本橋に東京店を開店。帝冠様式の代表作といわれる本館は高橋貞太郎の設計。1950年代に村野藤吾による5回の増築を経て、現在は国の重要文化財に登録されている。開店当初は日本生命より賃貸していたが、1960年に本館の土地区画全域を高島屋が取得している。
同時期の1930年には南海電鉄の難波駅に南海店、現在の大阪店が開店している。呉服系百貨店として初めてのターミナルデパートである。

業容の拡大からオーバーストアへ
百貨店の転機
高島屋は戦後も経営の拡大を続け、一時期国内18店舗を構えるまでに至る。
戦後における特徴的な施策にクレジットカードの発行とコンビニエンスストアの展開を挙げる。
1960年に高島屋は三和銀行と提携して信用販売を開始、1961年にはダイナースクラブと提携してクレジットカードを発行している。当時月賦百貨店であった丸井が「クレジットカード」を発行したのも同時期であるが、現代のクレジットカードとは性格の異なるものであったことから、流通系クレジットカードとしては最初期の発行といえる。
また、1989年にはコンビニの実験店舗を六本木に出店。高品質高価格の最寄品を強化したコンビニとして「生活彩花」を直営とFCで展開した。百貨店の歴史上コンビニを自ら展開したのはこの高島屋と西武のファミリーマートのみであり、稀有な例である。コンビニ事業は1996年にポプラへ売却され、現在もビルや病院内のコンビニとして各地に出店している。

順当な拡大経営を続けた高島屋も他の大手百貨店と同様にオーバーストアに苦しんだ。 1988年に閉店した津田沼店は当時東京近郊へのSC開発を模索していた高島屋が習志野市の依頼もあり商業施設サンぺデックに出店したものだが、12000平米の小さな売り場と津田沼戦争とも呼ばれたオーバーストアに苦しんだ。愛媛県今治市の今治高島屋においても周辺の大型商業施設開業によってオーバーストアに陥り1984年に撤退している。 また同時期に十全会による高島屋株の買い占めとダイエーへの売却報道があり経営が混乱。この騒動はダイエーが展開するプランタン百貨店との提携で収束したが、経営の脆弱性が明らかとなった事案である。

新宿・名古屋の躍進と SC化の推進
百貨店の現在地
1996年には新宿にタカシマヤタイムズスクエアが開店、悲願と言える新宿進出を果たした。専門店の面積を大きく取り、百貨店と連続して展開したほか、紳士服と婦人服を同一のフロアで展開する特徴的な売り場構成になっている。付近には伊勢丹やルミネなど高級志向にもカジュアル志向にも競合が存在するが、柔軟なMDや中間的なフロア構成は新宿店を主力店舗に押し上げた主因といえるだろう。

また、2000年にはJR東海と合弁でJR名古屋高島屋を開店。リニア開業を見据えた再開発によって栄から名古屋駅に商業中心地が移る流れに乗り、売上を大きく伸ばした。2023年には専門店含め売上高が1500億円を超え、全国トップクラスの百貨店、高島屋としては最大の店舗。名古屋の百貨店というと松坂屋が象徴的であったが、いまや高島屋が地域一番店となった。
近年、同社が進めるのは店舗の整理とSC化である。都市部の店舗が旺盛な高額品需要やインバウンドの恩恵を受ける一方で地方店は依然苦戦を強いられている印象が否めない。地方では和歌山店や岐阜店を、近郊では堺店や洛西店の閉店に踏み切った。不動産活用事業ではグループの東神開発を中心に街づくり戦略を掲げ、往年の優良資産を活用した収益性の確保を図っている。

ガイド
● 呉服系百貨店
呉服店をルーツに持つ百貨店。江戸時代に着物や反物を取り扱っていた商人から近代に百貨店へと発展した。代表例に三越伊勢丹、大丸松坂屋、高島屋など。
● FC(フランチャイズ)
本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)が業務提携を行い、本部のブランドや商品供給網を使用する代わりに加盟店がロイヤリティを本部に支払う事業方式。コンビニや飲食店で多くみられる。加盟店の資本を利用できるため本部にとっては新規出店のコストを抑えることができ、加盟店にとっては本部の経営資源を利用して事業を行うことができる。
● オーバーストア
一部の地域で商業施設が過剰に供給されること。百貨店やSC、スーパーなどが過度に集中することで売上の食い合いが起こり地域全体の収益性が下がる。
● 定借化
百貨店が直営で運営していた売り場をテナントに貸し出すこと。定期借地化の略、テナント化ともいう。売り場の管理、設営、販売員、商品供給などはすべてテナントが行い、百貨店は賃料を得る。直営売り場がなく、すべて定借化した商業施設は百貨店ではなく、ショッピングセンターまたはファッションビルとなる。










